6年生1月3週の課題は『ソフィーの世界』の一節を読んで感想文を書くというものでした。この本はもともとノルウェー語で書かれており、その日本語訳を読んでいくということになるのですが、英訳を見ていて気づいたことがあるので書き留めておきます。生徒さんの参考になるといいなー。1月3週は終わったばっかりだから来年以降だけれど。
長文の最後から2文目に「わたしたちは子供のうちにこの世界に驚く能力を失ってしまうらしい」とあります。そしてここは感想文の要となる重要な一文ですが、英訳では
It seems as if in the process of growing up we lose the ability to wonder about the world.
となっています。日本語訳では「wonder」 を「驚く」と訳していますが、そうすると、じゃあ、直前に例として挙がってたお母さんはどうなるの? 盛大に驚いているじゃない、大人なのに、どうして?ということになってしまいます。
ですので、これまで私がこの解説をするときは、「大人は世界に普通に驚く能力を失う。お母さんは驚きすぎて、普通に驚いているわけじゃない。トーマスは普通に驚いている」と「驚く」について苦しい説明をしていましたが、最初から「驚く」と言う言葉を使わずに、「不思議に思う」と訳しておけば、何の問題もないわけです。私たちは子供の頃に世界を不思議に思う能力を失ってしまう、と。立ち止まって、あれ、どうなってるんだろう、もしかして、こうかな、ああかな、と考えてみる、そういうことがなくなるんだ、と。そしてこれは「驚く」とは大いに違うと思うのです。
……なんだかものすごく細かいことを力説してしまった気もしますが。。
ところで、この『ソフィーの世界』は哲学を心得た大人が女の子ソフィーに西洋的哲学の物の見方を平易な言葉で教えていくという本で、英訳もとても平易な言葉で書かれています。私の場合は、stumble「出くわす」(長文上段10行目)、slumber「眠り」(同18行目)などいくつか分からない単語はあったもののわりとすらすら読めました。小6のとき、この長文を何度も読んで苦労して感想文を書いた生徒さんなら、高校受験あたりに英訳の方を読むととてもいい勉強になるのではないかと思いました。
Amazonの「なか見!検索(Look Inside)」で見ることができます。左肩に「18」とあるページです。
さて、『ソフィーの世界』は世界中の言語に訳されベストセラーになったすごい本ですが、ここ日本のAmazon家庭教育部門第1位をキープしているすごい本というのを皆さんはご存知でしょうか。それは言葉の森の本『小学校3年生で本当にさせたい勉強』(中根克明 すばる舎)です! 大好評のため、3刷目に入りました! 私は土曜日の教室に持参して、生徒さんを待つ保護者の方にお貸ししてますがこんな感想をいただきます。
「こういう類の本はよく読む。とても興味がある。この本もおもしろかった。やっぱり大人との対話が大事ですね」(小2男の子のお母さん)
「とてもいい内容なのでできるところからさっそく実践している」(小4女の子のお母さん)
ご興味ある方、ぜひ書店でお求めになってください。もしくは、柏の葉作文教室へ体験を受けに来たついでに読むとかね(^^)/