おとなの作文のご紹介です。60代女性の作品。以前ご紹介した70代、80代女性が書かれた「父からの手紙」に触発されて、ご自分のお父さんのことを書かれました。この作文の中のお父さんを記憶にとどめておきたいそうです。
作文のキーワードは黒猫、腕枕、布団、父、末っ子。
ぐっとくる作文です。最後の軽みがまた粋です。
では、すずさん、お願いします。
「はあい」
腕枕 すず
猫を飼っている。生まれてすぐ捨てられていた黒猫だ。親や兄弟を知らずに育ったので、とりわけ甘えん坊で、やんちゃで、人見知り。
私が布団に入るととんできて、当たり前な顔をして腕枕に収まる。軽くて小さい猫の頭だが、しばらくすると寝返りも打ちたいし、腕もしびれてくる。ぐっすり寝込んでいる猫の頭をそおっとずらしてみるが、気づかれて腕枕のやり直しになるのが常だ。
そういえば、私は小さい頃、毎日父の腕枕で眠っていた。末っ子だけの特権だったと思う。父の腕はさぞかし痺れただろう。
「重いなあ、ええ頭やなあ。」
と、言ってもらえるのが嬉しかった。なかなか眠られないと、寝返りを打ちたくなり、
「お父ちゃんのこと好きやけど、あっち向くね。」
と、いちいち断って背を向けた。父から背を向けられた記憶はない。
そんなふうに育ったのに、2人の子供を育てるのに、腕枕をして寝かしつけたことは、たぶんない。欧米式に、寝る前の絵本を読んだ後は、おやすみ、と言って子供達だけで寝るように仕向けていた。なんと勿体ないことをしてしまったのかと悔やまれる。
仕方がない。今は猫を甘やかすか。
▼パソコン入力で書かれました。キーボードで入力すると、考えるスピードで書き留められます。
=============================
大人作文教室は毎週火曜日、9:00−12:00
さわやかちば県民プラザにて開催中。
無料体験学習2回受付中です。
ご連絡は柏の葉作文教室、浅岡まで。
04-7111-1255
080-4118-7434
kayo.asaoka@gmail.com
プロ級の文章力に拍手を、下のボタンはぽちっとお願いします。