アメリカ在住のボーロさんが「テストはよいか」をテーマに意見文を書きました。ほとんどの生徒さんはこの課題で「テストは良い」の意見で書きますが、ボーロさんはあえて「テストは良くない」という立場で書きました。ほとんどの生徒さんが「テストは良い」で書くのは、教材の解説にそちらの意見の書き方が載っているからです。反対の立場で書くボーロさんには解説はありません。
ボーロさんは自分でしっかり考えて、自分の体験を生かし、自分の意見を書きました。特に昨年1年間、イギリスの学校に通ったことが「テストは良くない」の立場で書く決め手になったようです。
ボーロさんは小1から小6まで柏の葉作文教室で作文の勉強を続け、中学生でいったんお休みをし、高校生で復帰した生徒さんです。中学生の間は読書などで独学で日本語を勉強してきたそうです。漢字もボキャブラリーも小6のときより格段に増えていますから、独学でかなりの量を勉強したのだと思います。
では、ボーロさんお願いします。
「ハーイ」
課題
テストは良いか
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テストはよいか 高1 ボーロ
イギリスの学校はアメリカや日本の制度と違う。16歳で受ける1回の試験で成績が決まってしまう。その成績で大学に行けるか、就職できるか全部、決まるのだ。私は昨年、1年間イギリスに住んだ。イギリスの学校生活は楽しかった。しかし、印象に残ったことは先生は試験に出てくることしか教えてくれないということだ。そして、質問の答え方も試験でいちばん高く点数がもらえる書き方を教えてくれる。就職したときに上司の人が読みやすかったり、大学の教授の目に留まる書き方ではなく。私はテストで高得点を取ることだけを目的にした学校教育はよくないと思う。
第一にずっと学校でがんばって宿題を時間通りに提出しても、試験日にプレッシャーに負けて低い点を取った場合、その生徒の実力を正確には表していないからだ。もともと、テストの目的は生徒の実力をするためだ。プレッシャーに負けて低い点を取ったら、その生徒の実力を正確には表していないからだ。イギリスの友達で毎日、学校に来て勉強しているのにテストでは低い点数を取る子がいた。その子はまじめでやさしい子だ。しかし、もし、試験で低い点を取ったらその子は怠け者と見られるかもしれない。反対に6年間さぼっている子が、最後の2か月だけ勉強して高得点をとってもその子を表す点数とは言えないだろう。
第二にテストをするとその場だけ物事を覚えて知識を得るが、体系的な知識を得るための勉強しなくなるからだ。学校というのは本来、その子が一人で生きていけるように作られたものだ。テストで高い点数を取ってもすぐに内容を忘れてしまったら意味がなくなる。私もこういうテストの受け方を何十回もしたことがある。補習校で土曜日に漢字テストがあるからと金曜日の夜にテストに出てくる時だけ練習して熟語や音読み訓読みを学ばなかった。テストでは高い点を取れるけれど、本当の意味でその漢字を学んだわけではない。でも、点数は高いので学んだ気分になってしまう。高い点数で天国には行けないということだ。
もちろん、テストの良い面もある。たとえばずっとだらしない態度で勉強しないにも関わらず、目標が達成できることがある。先生側で生徒が何を知っているか、知らないかを理解することもできる。これはもちろん生徒側にも適用できる理由だ。でも、何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」というように、やりすぎには注意が必要だ。テストや試験に利点はあるが、あまりそれだけに集中しすぎるとよくないと思う。